請願署名など制度拡充の運動を広げましょう
消費税10%増税を実施した安倍政権は、続いて社会保障制度のさらなる負担増と給付削減をすすめようとしています。「消費税は社会保障のため」といいながら、この間も社会保障の切り下げを続けてきた歴代自民党政権。
今後どのような中身になるのか。すでに安倍政権が決めた方針(閣議決定した「骨太の方針」、政府の経済財政諮問会議で決定した改革工程表)などを見ると、負担増と給付削減の内容が見えてきます。
医療では75歳以上の窓口負担を2割へ、「かかりつけ医」以外の外来受診は新たに定額の負担を導入、薬局で市販されている薬と似た医療用医薬品などは窓口負担増や保険給付外にしようとしています。
高すぎる国民健康保険料(税)では、国保料値上げを抑える市町村の国保会計への法定外繰り入れを「早期解消」させ、大幅に値上げしようとしています。
年金額の削減など、高齢者世帯の生活は大幅に悪化しており、窓口負担の引き上げは、大幅な受診抑制を招き、疾病の重症化を引き起こすことが予想されます。
介護では利用料の負担を増やします。今は原則1割で、年金収入280万円以上で2割、同340万円以上で3割です。これを改め、2割、3割負担の人をさらに増やすことをねらっています。
介護保険の要介護認定は7段階あります(要支援1、2と要介護1~5)。このうち軽度の要支援1、2の訪問介護と通所介護はすでに保険給付から外され、市町村の総合事業に移されました。
今度は要介護1、2の生活援助サービスも保険給付から外そうとしています。両方合わせると、要介護認定を受けた人の実に6割を保険給付外にするもので、制度への信頼を根本から崩す問題です。
介護保険のケアプランの作成は10割給付ですが、新たに利用者負担を導入しようとしています。
政府は、2012年の社会保障制度改革推進法の成立以降、社会保障を家族相互、および住民間の助け合い制度として国の責任をあいまいにし、社会保障費を抑制し、制度の改悪を続けています。
貧困と格差の拡大と医療・介護制度の改悪により、必要な医療・介護が受けられずに手遅れになり、死亡している状態で発見される、そのような深刻な事態が全国に広がっています。
経済的困難を抱えていても、必要な医療や介護サービスが安心して受けられるように制度の拡充が求められています。請願署名にもご協力下さい。
医 療 | 75歳以上の窓口負担を原則1割から2割への引き上げる |
---|---|
75歳以上の3割負担者(現役並み所得)の対象を拡大 | |
「かかりつけ医」以外の受診は新たに定額での負担を求める | |
処方箋がなくても買える薬(花粉症薬、湿布、漢方薬等)は保険から外す | |
預貯金が一定ある高齢者は入院時の食事・室料代は全額自己負担 | |
介 護 | ケアプラン作成に自己負担を導入 |
利用料2割、3割負担の対象拡大 | |
要介護1・2の生活援助サービス等の保険外し(市町村の総合事業に移行) | |
介護施設(老健、介護医療院等)の相部屋の室料負担を徴収 | |
低所得者に対する介護施設利用時の食費・居住費補助の削減 |
しらかば薬局 薬剤師 多田 勘司
消費者庁には、65歳以上の高齢者の誤飲・誤食事故の情報が寄せられており、薬のPTP包装シート(*1)を誤飲・誤食したという事故が多く見られます。高齢者は、視覚・味覚等の身体機能や判断力の低下、認知症などにより、誤飲・誤食のリスクが高まると考えられます。
(*1)「PTP包装シート」とは「Press Through Package」の略で、医薬品等をアルミなどの薄いシートとプラスチックで1錠ずつ分けて包装したものをいう。
年代別に見ると、75歳以上の事故が多く見られます。内服薬等の包装を誤飲したという事例が最も多く、その多くはPTP包装シートを誤飲したことが明らかな事例でした。一部では入院を要した事例もあります。
【事例1】
夕食後、内服薬をPTP包装シートのまま誤飲。飲み込む時に喉の違和感があり来院。食道にPTP包装シートと思われる異物があり、内視鏡にて除去。経過観察のため入院。(医療機関ネットワーク、受診年月:平成27年7月、60歳代・女性、要入院)
【事例2】
朝食後、家族が切り取って渡した内服薬を丸ごと飲み込んだ。喉につかえた感じがあり、近医受診後救急車で来院し、胃カメラで食道からPTP包装シートを回収した。(医療機関ネットワーク、受診年月:平成26年12月、90歳代・男性、即日治療完了)
1錠単位に切り離した薬をPTP包装のまま飲み込んでしまうと、自力で取り出すことは難しく、X線写真にも写りにくいため、内視鏡で取り出すことになり、身体への負担も大きくなります。PTP包装は切り離すと角が鋭利になるため、人体内部を傷つけるおそれがあります。
参考)消費者庁ホームページ
(鍛治友の会の「お料理教室」でつくったレシピです)
(1人分 151kcal)