鈴木先生はテレビで放送されている番組「総合診療医ドクターG(ジェネラル)」に講師として最も多く出演されている総合診療のエキスパートです。
最初に総合診療医とは、疾患や特定の臓器だけを診るのではなく、患者さんが一人の人間として抱える健康問題に関心を注ぎ、病歴、経済的な問題、仕事、家族や地域にも目を向けて全人的、包括的に患者さんを診る医師と話されました。また、先生は色々な患者さんによく「専門は何ですか?」と聞かれると「私はあなたの専門家です」と答えるそうです。
今回の講演では総合診療医になったきっかけとして市立舞鶴病院加佐診療所での経験で、特にこの過疎地域で「地に足の着いた生き方」をしている高齢者の在宅看取りの多くの経験から、医療の目的はその人の生活ややりがいを最大限支援することが総合診療医の力だと感じたことが現在の原点だと話しました。
最後に超高齢社会の医療のあり方と総合診療について話され、将来の高齢社会での死を迎える場所の問題について触れました。1975年当時は在宅死が多くありましたが、それ以降は病院で亡なるのが当たり前になっています。しかし今後、国の政策として総合診療医を増やしていき、在宅で亡くなることを目指していることが話され、これからの時代は地域密着型の病院が大事であり、中小病院で働く医師が経験と力をつけていくことが、まさに「生き残る切り札になる」と強調しました。
参加した坂本雅美看護師(函館稜北病院訪問診療室主任)は、「先生が私はあなたの専門家ですと自己紹介しているという話に感銘を受けました。一緒に想い出の歌を歌う等、患者さんの生活背景や人生観を傾聴する姿勢に、もし自分が病気で終末期だったら診てもらいたいと思います。また、自分の看護観を振り返る機会にもなり元気が出ました」と感想を話しました。
介護福祉士 山田 誠
近年介護現場において介護の必要性の有無に関わらず生活の質や人生の質(QOL)を高める為に楽しい活動を取り入れることが重要であるという考え方が主流となっており、日々の生活の中に生きる喜びと楽しみを見出していく様々な活動の事を介護レクリエーションといいます。
レクリエーションとは単なる余暇や娯楽という意味だけではなく「RE:再び」「CREATION:創造」を組み合わせた「再創造」つまり、壊れたものが作り直されること、疲労を回復して元気を取り戻すことといった意味を持ちます。機能的回復や介護予防の為に介護レクリエーションを実践することはQOLと日常生活動作(ADL)を高める為にも有効であると言えます。
介護レクリエーションは、(1) 歌やダンス等集団で行う集団レクリエーション (2) 趣味嗜好や介護度の違いを考慮し個別に対応する個別レクリエーション (3) 食事や入浴等基礎生活の中で行われる基礎生活レクリエーションの3つに分類されます。具体例には下記の様なものがあります。
レクリエーションの種類 | 具体例 |
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(1) 集団レクリエーション | ・介護事業所で集団で行う体操 ・介護事業所で行う毎月の誕生日会や季節ごとのイベント(集団で行う)園芸、歌、楽器の演奏など |
(2) 個別レクリエーション | ・絵画、囲碁、手芸など自由な時間に行う趣味活動 ・脳トレーニングのゲーム、写経、計算問題などの参加者の状態に合わせた介護予防のためのプログラム |
(3) 基礎生活レクリエーション | ・食事の時間に昔懐かしの映像を見る ・入浴の時間に音楽を流す ・施設の共有部分に絵を飾る、花を置く |
介護現場で求められるレクリエーションとは、楽しい場を提供し参加者を笑顔にする事です。楽しいという気持ちは「プラスの情緒的感情」を引き出す力となります。楽しさを引き出すことによって日々の生活の中にレクリエーションが取り込まれ、習慣化されていくことが望ましく「生活のレクリエーション化」によって毎日をポジティブに生きようとする自立生活と、自己実現が叶うライフスタイルを作り上げることに繋がります。
(鍛治友の会の「お料理教室」でつくったレシピです)
(1人分 252kcal)