10月28日に児童文学作家、森越智子さんを招き講演会がおこなわれました。著書「生きる 劉連仁の物語」を通して、日本軍による中国人の強制連行、強制労働など加害の歴史についてお話しされました。
(講演の要旨をご紹介します)
1958年2月、凍えるような寒い日、当別町の山から突然一人の中国人が発見されました。劉連仁さんです。
1944年、中国山東省の草泊村に住み、農作業中に日本軍兵士に連行されます。連行者は縄でつながれて飲まず食わず、列車と船を乗り継いで日本に連れてこられます。北海道にはまず函館の港で降り、検疫を受けて各地の炭鉱や鉱山、港湾に連れていかれました。
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強制連行は国際犯罪になるので、兵隊または労働者として契約して来たと偽装工作をするわけです。劉さんも軍服に着替えさせられました。
空知の沼田町にあった明治昭和炭坑へ劉さんら200人が到着。そのときは最初に中国の青島で着せられたボロボロとなった薄い軍服1枚。寒さだけではない、これから劉さんの地獄が始まったのです。
炭坑で大きな落盤があり、仲間が生き埋めになりました。中国人は死んでも、またいくらでも連れてくればいいんだという考えでした。仲間を犠牲にして掘っている石炭が、戦争のエネルギーとなり、結果として仲間を殺していることにつながると劉さんは思います。1945年7月のある晩、収容所の脱出を試みます。便所の汲み取り口が唯一の逃げ場所です。便槽に沈み脱出しました。
生きていればいつか故郷に帰れるかもしれない。偶然、ほかにも逃げ出した仲間と逃避行が始めるわけです。祖国中国へ向うつもりで、羽幌、稚内、網走、厚岸と北海道中を渡り歩きます。
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戦後、GHQから戦争犯罪と訴えられた場合、申し開きができるよう外務省は東亜研究所というところに報告書をつくらせます。
GHQへの報告後、文書は焼却処分命令が出ていました。しかし心ある調査員が、この歴史的資料を葬るわけにはいかないと、ミカン箱10個分もの報告書を密かに東京の華僑の倉庫に隠したのです。
のちに放送記者がこの外務報告書を見つけ放映。初めて強制連行の全貌は明らかになります。
この外務省の報告書と劉さんという生き証人により、日本政府は強制連行を認めざるを得なくなり、日本の加害行為に対して謝罪した「村山談話」につながっていったのです。
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劉さんは、国家が大変な方向に走ったとき、人間がその犠牲になっていく。生命と尊厳が犠牲になることを許さず訴え続け、中国と日本が真の友好を結ばなければいけないと述べ亡くなったそうです。
劉さんが生きて伝えようとした、戦争の本当の姿というものを、私たちはこれからも次世代にしっかり伝えていかなければならないと思います。
リハビリ 中田大輔
私たちの体の約20%を占めているタンパク質は20種類のアミノ酸で構成されています。
この20種類のアミノ酸のうち、9種類は体内で作ることができず、食事などで摂取しなくてはならないことから、必須アミノ酸とよばれています。
肉や卵などタンパク質を豊富に含んだ食品を摂取し分解・消化するよりも、既に分解されたアミノ酸そのものを摂取する方が効率が良いため、最近注目されています。
マラソンやサイクリングなど持久力を求められるアスリートが競技中に摂取することで有酸素運動のパフォーマンスが向上するということで、顆粒状や飲料として一部の専門的なメーカーから製造・販売されてきました。
マラソンでトップクラスの選手が給水所に設置しているマイドリンクの中身は、個人差はあるもののそのほとんどがこの必須アミノ酸だといわれています。
最近、この必須アミノ酸が高齢者の身体機能改善にも効果があるのではないかという研究がされているようですので、その一部をご紹介します。
まず国内では、通所リハビリにおいて要介護高齢者に分岐鎖アミノ酸(必須アミノ酸の代表的なもの)を摂取していただいた後に運動療法を実施したところ、バランス機能が向上した1)という報告があります。
また、海外では75歳以上の女性155人を対象にした調査で、3gのアミノ酸を1日2回、12週間摂取して運動していただいたところ、摂取しないで運動していただいた方より筋量・筋力ともに改善の幅が大きかった2)という報告もあります(下記グラフ参照)。
アミノ酸はサプリメントや飲料など、最近ではドラッグストアでも販売しています。大手メーカー製の高齢者に最適な配合比率の商品も開発・販売されています。
もちろん、用法・用量の基準はありますが、薬と違いサプリメントの一種ですので、少し手軽に利用できる点も身近に感じるポイントです。
ただし、気をつけなくてはならないのは、いずれの報告も運動との併用による結果である、ということです。適度な運動を行うことに加えて摂取することで、運動の効果を更に高めることが期待できる、ということです。
飲むだけで健康になるような魔法の薬はまだ見つかっていないようです。
参考・引用
1)池田 崇ほか:分岐鎖アミノ酸摂取を併用した通所リハビリテーションが要介護高齢者の筋力とバランス機能に与える影響.理学療法学 第42巻第5号 428~433頁(2015年)
2)味の素株式会社 プレスリリース http://prtimesjp/main/html/rd/p/000000007.000008668.html
(鍛治友の会の「お料理教室」でつくったレシピです)
(1人分 433kcal)
以上で完成となります。